学生アルバイトと労働基準法について第3回目となりましたが、このテーマでは今回が最終となります。今回は主に制限・禁止業務についてご紹介し、最後に帰郷旅費について触れておきたいと思います。
<危険有害業務の就業制限>
18歳未満は肉体的・精神的に成長過程であり、知識、技能、経験も未熟であることから、危険・有害な業務に就かせてはならないとされています。(労働基準法第62条)
- 運転中の機械・動力伝達装置の危険な部分の掃除、注油、検査、修繕
- 運転中の機械・動力伝達装置に対するベルト・ロープの取り付け、取り外し
- 動力によるクレーンの運転
- 厚生労働省令で定める危険な業務(※1)
- 厚生労働省令で定める重量物を取り扱う業務(※2)
- 毒劇薬、毒劇物その他有害な原料・材料を取り扱う業務
- 爆発性、発火性、引火性の原料・材料を扱う業務
- 著しく塵埃・粉末を飛散する業務
- 有害ガスや有害放射線を発散する場所での業務
- 高温や高圧の場所での業務
- その他安全・衛生・福祉に有害な場所での業務(※1)
※1 「年少者労働基準規則」に定められています。かなりの数の業務が定められているため、ご興味のある方は一覧表をご用意しておりますので、そちらをご確認ください。
厚生労働省令で定める危険・有害な業務
※2 重量物の制限は、「年齢」「性別」「断続作業か継続作業か」の3つの要素によって細かく分類されています。
自社の業務がこれらに該当するのか確認する方法として、所轄の労働基準監督署に直接尋ねるのが一番確実ですが(顧問契約を交わしているお客様限定になりますが、当事務所がお客様に代わって確認することも可能です。)、「労働基準法解釈総覧」という書籍で細かい通達関係を確認することも可能です。
<坑内労働の禁止>
学生アルバイトという観点からは、近時ではまずあり得ないと思いますが、18歳未満は坑内労働を禁止されています。(労働基準法第63条)
坑内労働とは炭鉱などの坑道内でする労働のことです。
<就業制限の特例>
学生アルバイトの観点からは離れてしまいますが、職業能力開発促進法による職業訓練を受ける場合には、上記の危険・有害業務や坑内労働をすることが出来ます。但し、坑内労働については職業訓練を受ける場合であっても16歳未満は禁止されています。
<帰郷旅費>
次のすべてに該当する場合には、帰郷するにに必要な旅費を使用者が負担しなければならないとされています。(労働基準法第64条)
- 18歳未満の者を解雇した
- その者が解雇されてから14日以内に帰郷した
但し、解雇の原因が解雇された側にあり、かつ、所轄労働基準監督署長の認定を受けたときは、帰郷旅費を支払わないことができます。
以上、3回に渡って18歳未満に特有の労働基準法上の定めを確認しました。次回は、留学生について確認したいと思います。