従業員さんに活き活きと働いてもらいたいというのは経営者さんに共通の思いではないかと思いますが、小さな会社ではその思いとは裏腹に、生き生きとした職場づくりに掛ける時間も労力も資金も無いという会社があるのではないでしょうか。
この課題の解決に繋げようと、北里大学医学部の堤明純教授が中心となって、厚生労働省の研究補助金を活用して、小さな会社のためのこころの健康づくりお役立ちツールが作成されました。ツールは全部で5つあり、どれも無料で利用することが可能です。
そこで今回は、どのようなツールがあるのか、ご紹介したいと思います。
- (経営者向け)職場と健康に関する現状把握のためのチェックリスト
- (経営者向け)研修プログラム ―多忙な経営者が学びやすい短時間プログラム
- (従業員向け)LINEをつかった従業員のこころの健康づくりのためのプログラム
- いきいきとした職場づくり -従業員が話し合い働きやすい職場をつくる
- メンタルヘルス不調者が発生した時の対応事例集
(経営者向け)職場と健康に関する現状把握のためのチェックリスト
職場と健康に関する⾃⼰評価チェックリストでは、経営者が①⾃社の職場環境(⼼⾝の負荷、事故のリスク、⾃⾝の⾏動)と②⾃⾝の健康状態(⼼⾝の健康、⽣活習慣、健康に対する意識)を評価するためのチェックリストです。
チェックリストは5分程で完了できるようになっており、点数化はされないものの、改善点や逆に今後も継続すべき点を可視化することができます。定期的に繰り返し使⽤することで、現在地点の確認と今後の進路設定に役立てることができるでしょう。
(経営者向け)研修プログラム ―多忙な経営者が学びやすい短時間プログラム
活き活きとした職場づくりには、経営者の関りが大きく影響することが分かっています。経営者向けウェルビーイング・リーダーシップトレーニングプログラムでは、経営者が従業員の健康と⽣産性を⾼めるために必要な知識へ⼿軽にアクセスでき、様々なケース対応の疑似体験を通じて経営者が知っておきたい基礎知識を簡単に学ぶことのできるツールです。10分程度の短時間の学びを重ねながら、気づきや学びをメモして頂くと、ご⾃⾝⽤の処⽅箋が完成します。
現在、トレーニングの効果を確認するための研究をおこなっており、2023年3月までは無料でトレーニングの全体を受講することが可能です。(トレーニング実施前と後に経営者ご本人と、従業員の方へのアンケートがあります。)トレーニングは全10回構成となっており、第1回の動画は誰でもいつでも視聴可能ですので、まずは気楽にご覧になってみてはいかがでしょうか。
(従業員向け)LINEをつかった従業員のこころの健康づくりのためのプログラム
こころのセルフメンテうぇるびの森では、従業員がLINEで友達登録したあとに、年齢、性別、ストレス状況を⼊⼒すると、それに合わせて、科学的根拠に基づく「こころが軽くなる⾔葉のサプリ」となるメッセージが⾃動で届きます(週1回、全8回)。また、ウェブサイトにはセルフケアに関する100以上の記事を掲載し、簡潔な⽂章とイラストでセルフケアのコツをわかりやすく紹介しています。
こちらのツールは従業員さんにLINEの友だち登録をしてもらう必要はありますが、その後は会社の方で何かしなければならないということはなく、非常に気軽に始めることができます。
いきいきとした職場づくり -従業員が話し合い働きやすい職場をつくる
ウェブ版いきいき職場づくり職場環境改善ヒント集では、職場全員でワイワイ楽しみながら職場環境改善をすすめることができます。まず、アクションチェックリストというツールを使って、働きやすい職場づくりに役⽴つ良い点と改善したい点を幅広い視点から振り返ります。次に、そのチェック結果を活⽤して、皆で話し合いの機会をもち、具体的な職場環境改善をすすめます。これらの取り組みを通じてコミュニケーションや相互⽀援が強化されます。
仕事の進め方、作業環境、職場の人間関係、職場の心理的安全性の4つの領域についてアクションチェックリストが用意されており、(安全)衛生委員会等でそのまますぐに活用できるかと思います。
メンタルヘルス不調者が発生した時の対応事例集
小さな会社では、産業医や産業看護職などの専⾨職がいないことが多く、メンタルヘルス不調者が⽣じたときに、多くの経営者が対応に苦労します。地域産業保健センターを活⽤した⼩規模事業場でのメンタルヘルス対応事例では、⼩規模な会社でメンタルヘルス不調になった従業員が⽣じて、対応が必要となった場合に参考となる対応事例を確認することができます。
全8事例が紹介されており、どれも実際に発生しがちなものとなっています。1事例1ページの構成で文字数はやや多めですが、あまり簡潔すぎると知りたいことが分からないことにもなるので、このぐらいで丁度よいかと思います。