2025年10月1日(令和7年10月1日)以降、19歳以上23歳未満(=19~22歳)の親族(※配偶者を除く)を健康保険の被扶養者に認定する際の年間収入要件が見直されます。
結論から言うと、年間収入の基準が「130万円未満」から「150万円未満」に引き上げられます。その他の生計維持要件は従来どおりです。
1. 何が変わる?
対象:19~22歳の親族(配偶者を除く。事実婚の配偶者に相当する者も「配偶者」に含まれるため対象外。)
施行・適用:2025年10月1日(令和7年10月1日)以降の扶養認定日に適用。
判定する年(暦年)* | 年齢区分(12/31時点) | 年間収入の基準 |
---|---|---|
18歳の年 | 18歳 | 130万円未満 |
19~22歳の年 | 19~22歳 | 150万円未満 |
23歳の年以降 | 23~59歳 | 130万円未満 |
*年齢は扶養認定日が属する年の12月31日で判定します。なお、民法の規定により「誕生日の前日に加齢」しますので、例えば、誕生日が1月1日である方は、12月31日において年齢が加算されます。
2. 年間収入の見方(算定方法は従来どおり)
150万円未満かどうかの判定方法自体は変更ありません。
過去の収入・現在の収入・将来見込みを勘案して、「今後1年間の収入見込」で判断します(「過去実績」での判定ではありません)。但し、健康保険組合によっては独自の判定基準となっている可能性がありますので、ご注意ください。
生計維持要件も従来どおりですから、年収だけでなく次の要件も満たす必要があります。
- 同居の親族:原則として、対象者の収入が被保険者の収入の1/2未満
- 別居の親族:対象者の収入が被保険者からの仕送り額未満
なお、「学生であること」は要件ではなく、 年齢のみで判断します。
3. 年齢の数え方と境目の注意
- 判定基準日:扶養認定日が属する年の12/31時点の年齢で判断。
例:2025年10月に19歳の誕生日を迎える方は、2025年12月31日現在で19歳となるため、2025年(暦年)における収入要件は150万円未満です。 - 加齢日は前日:民法準用により誕生日の前日に年齢加算(例:1/1生まれは12/31に加齢)。
- 22歳の年の翌年(=23歳の年)は、基準が130万円未満に戻るため、要注意。
4. 経過・遡及・削除届(非該当)の取扱い
- 遡及認定の判定:2025年10月1日以降の届出でも、認定日が10月1日より前に遡るなら、130万円未満で判定します。
- 2025年9月30日以前に扶養認定済みの19~22歳の方は、年間収入見込みが130万円未満ということで被扶養者の届出をしているかと思います。これらの方の年間収入見込みが2025年10月1日以降に130万円を超えることになったとしても、150万円未満に収まっていれば、そのまま被扶養者を継続することが可能です。
5. 実務対応チェックリスト(事業主)
- 対象者の洗い出し
→ 配偶者を除く19~22歳の被扶養者候補者・既認定者を抽出。 - 年齢判定の基準年を誤らない
→ 認定日が属する暦年の12/31時点で19~22歳かを判定し、150万円未満を適用。23歳の年は130万円未満に戻るので要注意。 - 働き方の調整が必要になる場合も
→ パート・アルバイト等は健康保険の被扶養者となる収入範囲で働いている人もいるので、これまでの勤務実態(時給・シフト・賞与・手当等)をベースに、今後の働き方について本人希望との摺り合わせが必要になることも。 - 遡及届の判断
→ 認定日が10/1前にさかのぼる場合は130万円未満で判定します。 - 生計維持要件は据え置き
→ 同居であれば被保険者収入の1/2未満、別居の場合は仕送り額未満の確認も併せて行いましょう。
6. 事例で確認
- 事例A:2025年に19歳になる学生アルバイト(月12万円)
→ 2025年の基準は150万円未満で、収入見込みは月12万円×12=144万円 → 要件充足(但し、生計維持要件も要確認)。 - 事例B:2025年に22歳、2026年に23歳になる方(月12万円)
→ 2025年は150万円未満基準でOK。2026年(23歳の年)は130万円未満基準に戻るため、年収見込みが同じであれば被扶養者非該当に。 - 事例C:2025年4月に遡って扶養認定したい(月12万円)
→ 認定日が2025年9月30日以前に遡るので130万円未満での判定になり、収入見込み要件を満たさず、遡っての認定は不可となります。なお、2025年10月1日以降は150万円未満での判定となるため、2025年10月1日以降の日付を扶養認定日とするのであれば、遡っての扶養認定が可能です。
7. 参照・参考
- 大切なお知らせ:「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」(更新日:2025年8月19日)— 改正内容、適用開始日、削除届の要否などの中核情報。年金ネット
- Q&A:配偶者は対象か— 配偶者(事実婚含む)は今回の対象外。年金ネット
- Q&A:学生要件の有無— 学生であることは不要、年齢で判断。年金ネット
- Q&A:年齢判定の時点— 12/31時点の年齢で判定、誕生日前日に加齢、年ごとの基準早見。年金ネット
- Q&A:年間収入の見込みの考え方— 従来どおり「今後1年間の収入見込」で判定。年金ネット
- Q&A:22歳の年の翌年の基準— 23歳の年は130万円未満で判定。年金ネット
- Q&A:遡及認定時の基準— 10/1以降の届出でも、10/1より前の期間は130万円未満で判定。年金ネット