2018年3月より、海外に在住する家族(外国籍の家族だけでなく日本国籍のある家族が海外に在住する場合も含む)の健康保険被扶養者認定の事務取扱が変更されています。この変更により被扶養者の認定にかなりの時間と労力が掛かるケースも考えられます。
どのような変更か?
健康保険の被扶養者認定において、海外に在住する家族の収入状況や家族関係の確認について、統一的な取り扱いとするための変更とされています。具体的には次の書類を提出することが必須とされました。
現況申立書
身分関係の確認書類
収入の確認書類
(被保険者と被扶養者が同一世帯の場合)同一世帯であることの確認書類
以下、それぞれについて確認したいと思います。
現況申立書
海外に在住する家族を被扶養者とする場合に現況申立書を作成・提出することとされました。日本年金機構の様式はこちら。(被扶養者 現況申立書)
健康保険組合などでは様式が異なる可能性がありますので、直接ご確認ください。
身分関係の確認書類
続柄が確認できる公的証明書又はそれに準ずる書類を提出することとされました。具体例として次のような書類が示されています。
国名 | 身分関係を確認する書類の例 |
中国 | ・親族関係証書(続柄など) ・住民戸籍簿(住所) ただし自治体により対応が異なる可能性有り |
韓国 | ・家族関係証明書(日本の戸籍謄本にあたるもの) ・婚姻証明書(配偶者の場合) ・出生証明書(親子関係の場合) |
フィリピン | ・婚姻証明書(配偶者の場合) ・出生証明書(親子関係の場合) |
ベトナム | ・日本の戸籍謄本にあたるもの ・婚姻証明書(配偶者の場合) ・出生証明書(親子関係の場合) |
ブラジル | ・領事館発行の婚姻証明書 |
具体例の挙がっていない国については手探りで書類を用意する必要があります。例示されている書類以外については『個別に日本年金機構本部を通じて厚生労働省年金局事業管理課と協議されたい。』
とされています。(平成30年3月22日付 厚生労働省年金局事業管理課長から日本年金機構宛の事務連絡より) このことから推測されるのは、事例が蓄積されてくるまでは申請書を提出してから被扶養者の認定がされるまでに相当な時間を要するのではないかと思われます。
収入の確認書類(その1)
海外に在住する家族の収入について次の書類を提出することとされました。
収入がある場合:公的機関又は勤務先から発行された収入証明書
収入がない場合:収入がないことを証明する公的証明書又はそれに準ずる書類
具体例として次のような書類が示されています。
国名 | 収入を確認する書類の例 |
中国 | (収入がある場合) ・勤務先から発行された収入証明書 (収入がない場合) ・自治体発行の無収入証明書 ただし自治体により対応が異なる可能性有り |
韓国 | (収入がある場合) ・勤務先から発行された収入証明書 (収入がない場合) ・管轄税務署発行の無所得証明書 |
フィリピン | (収入がある場合) ・勤務先から発行された収入証明書 (収入がない場合) ・無収入の証明については決まったものがなく、自治体の窓口などで個別対応の可能性 |
ベトナム | (収入がある場合) ・勤務先から発行された収入証明書 (収入がない場合) ・無収入の証明については決まったものがなく、自治体の窓口などで個別対応の可能性 |
収入の確認書類についても、例示されている書類以外についての取扱いは身分関係の確認書類の場合と同様です。
収入の確認書類(その2)
海外に在住する家族に被保険者から仕送りしている場合、次の書類を提出することとされました。
なお、仕送りについては次の留意点が示されています。
仕送りが手渡しの場合は仕送りの事実および仕送り額について認められない。
外国通貨から円への換算は、被扶養者異動届等の受付日の外国為替換算率(売レート)を用いて、算定する。その際、具体的な外国為替換算率は、電信売相場(TTS)を使用する。
仕送りがまだ行われていない場合は、確認書類を提出できないので認定することはできず、初回の仕送りがなされて以降に認定することができる。
仕送りを年に複数回する場合、今後1年間で生計維持に必要な程度の金額となるような回数等であれば認定することができる。(その後の保険者における被扶養者に係る確認時において、改めて実績に基づく仕送りの金額及び回数を確認し、継続した仕送りによる生計維持が確認できない場合は、被扶養者の認定を見直す。)
同一世帯であることの確認書類
被保険者と被扶養者が同一世帯である場合は、次の書類を提出することとされました。
なお、同一世帯であることの確認書類については具体例が示されていないため、提出してみるまでは分からないという事態が想定されます。
確認書類に共通の事項
外国語で作成された書類については日本語の翻訳文を併せて添付することとされています。翻訳文には翻訳者の署名が必要です。