労働基準法では年少者を保護する目的から、労働時間と休日について特別な取り扱いが定められております。うっかり法違反を指摘されてしまうことが無いように、しっかり確認しておきましょう。なお、中学校卒業までの児童についての定めは割愛させて頂きますので、18歳未満で中学校卒業後のケースとしてご理解ください。
<労働時間の原則>
18歳未満についても、原則的には1日8時間、1週40時間未満の労働が適用されます。(労働基準法第32条)
一定の事業で労働者数が10人未満の場合に、1週の労働時間を44時間とする制度がありますが、18歳未満については1週44時間制を適用することはできません。(労働基準法第60条第1項)
<時間外・休日労働の禁止>
18歳未満については、原則として時間外労働・休日労働が禁止されています。(労働基準法第60条第1項)
ただし、農業・水産業・畜産業の場合は例外が認められています。(労働基準法第41条第1項第1号)また、災害時の対応や公務の必要性がある場合も同じく例外が認められています。(労働基準法第33条第1項および第3項)
<休憩の特例が適用除外>
一定の業種については、労使協定が締結されていなくても休憩を一斉に与えないことができますが、18歳未満については、労使協定を締結していなければ、一斉に休憩を与えなければなりません。(労働基準法第60条第1項)別の言い方をすると、どのような業種であっても労使協定を締結していれば一斉に休憩を与えなくても構いません。
また、一定の業務に従事する場合には休憩を与えなくてよいとされていますが(労働基準法第40条、労働基準法施行規則第32条)、18歳未満については休憩を与えなければなりません。(労働基準法第60条第1項)
<変形労働時間制の適用除外>
18歳未満については、原則として次の変形労働時間制を適用できません。(労働基準法第60条第1項)
- 1か月単位の変形労働時間制
- 1年単位の変形労働時間制
- 1週間単位の非定型的変形労働時間制
- フレックスタイム制
<変形労働時間制の適用除外の例外①>
次の条件をすべて満たす場合は、1日の労働時間を10時間まで延長することができます。(労働基準法第60条第3項第1号)
- 1週の労働時間が40時間を超えないこと
- 1日の労働時間を10時間に延長しようとする日のある週の中で、4時間以内の労働時間の日が少なくとも1日以上あること
具体的な例を挙げると、月曜日に4時間働く場合、その週の土曜日や日曜日に10時間働いてもらうことが可能です。また、週休2日制を取る場合は、休日のどちらか1日を「労働時間が4時間以内」の日とすることができます。(平6.3.31 基発181号)
<変形労働時間制の適用除外の例外②>
次の条件をすべて満たす場合は、18歳未満であっても1か月単位の変形労働時間制または1年単位の変形労働時間制を適用することができます。(労働基準法第60条第3項第2号)
- 1週の労働時間が48時間を超えないこと
- 1日の労働時間が8時間を超えないこと
夏休みなどの学校が長期で休みの期間であれば、「8時間×6日=48時間/週」といったことも可能です。ただし、過重労働にならないよう、本人の希望や様子に十分配慮し注意を払うことが望ましいでしょう。
<深夜業の禁止>
18歳未満は、原則として午後10時から翌朝5時まで(※1)の時間に労働させることはできません。(労働基準法第61条第1項)ただし、次の例外が認められています。
- 農林水産畜産業、保健衛生業の場合や、電話交換の業務をさせる場合
- 工場などで交代制によって勤務させる場合(16歳以上に限る)
- 交代制によって労働させる事業で、労働基準監督署の許可を受けた場合は、午後10時30分まで又は午前5時30分から労働させることができます(※2)
- 災害の対応が必要な場合(※3)
※1 厚生労働大臣が認める場合は、地域や期間を限定して午後11時から午前6時に変更することができます。
※2 これは8時間労働(45分休憩)で2交代制を取った場合に、深夜時間帯に必ず食い込むためです。
※3 公務の必要があっても、深夜に働かせることはできません。
以上、18歳未満の労働時間と休日について確認しました。次回は18歳未満の禁止業務について確認したいと思います。