毎年恒例の『春の全国交通安全運動』が今年も始まります。交通安全というと企業活動に直接関係しないように感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、運輸・運送業はもとより、それら以外の業種であっても、車・バイク・自転車で営業に出たり、銀行に行ったり、あるいは通勤したりすることがあると思います。
ひとたび交通事故が発生すれば、加害者側になれば損害賠償や企業イメージの低下等の影響が考えられますし、被害者側であれば会社の人材が長期離脱することによる業務への影響も考えられます。
せっかくの良い機会ですので、交通安全について社内に通知・案内するなど、交通安全運動に取り組んでみましょう。
<期間>
平成30年4月6日(金)から平成30年4月15日(日)までの10日間
<重点項目>
子供と高齢者の安全な通行の確保と高齢運転者の交通事故防止
春は新小学1年生が通学を始めます。また、中学生や高校生であっても、新1年生は慣れない通学路で危険ポイントを十分に把握できていない可能性があります。実際に春先は子供の交通事故が増加する傾向にあるようなので、普段以上に注意する必要があるでしょう。
高齢運転者については、死亡事故を含む重大事故が多く発生しています。企業においても高年齢の雇用者が年々増加していますので、他人ごとではありません。身体機能の衰えに対する自覚が無いままに事故を起こす事例などについて、情報発信・注意喚起をするのも一つの方法でしょう。
自転車の安全利用の推進
自転車事故の加害者になった場合、高額の損害賠償が請求されることもあります。実際、平成25年7月4日の神戸地裁判決では9521万円の損害賠償を命じていますし、平成20年6月5日の東京地裁判決でも9266万円の損害賠償が命じています。業務中の事故であれば使用者責任に基づく損害賠償を問われることも考えられます。
反対に被害者になった場合は、職場を長期離脱することによる業務への影響、障害を負うことによる能力の低下、最悪の場合は死亡事故も考えられます。業務に対する影響はもちろんのこと、業務中の事故であれば、従業員側から会社に対して損害賠償や慰謝料の請求がされることも十分あり得ます。
街中では自転車が道路を逆走している姿を見かけるようなこともあり、まずは自転車の基本的な交通ルールを周知徹底することが必要でしょう。また、最近では自転車保険の加入を義務付ける市区町村もありますので、自転車保険の加入漏れが無いかこの機会に確認しておきましょう。(保険加入が義務化されていない地域でも万が一を考えると自転車保険に加入しておくべきですので、保険加入を勧奨するなどしましょう。)
全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底
平成20年の道路交通法改正によって、後部座席であってもシートベルトの着用が義務化されています(道路交通法第71条の3第2項)。後部座席のシートベルト着用が義務化された背景には、当然のことながらシートベルト非着用の場合は大変危険だということがあります。警察庁ホームページによると、『全身を強打するおそれ』『社外に飛び出るおそれ』『前席の乗員が被害を受けるおそれ』が指摘されています。交通事故は自分がどれだけ気を付けていても巻き込まれてしまう可能性があります。万が一事故が起こったときに少しでも被害を軽減できるよう、後部座席のシートベルト着用を社内で徹底しましょう。
飲酒運転の根絶
春は自動車やバイクで行楽に出かける人が多くなります。旅先で気分が開放的になるとお酒を飲みたくなる気持ちはわかりますが、絶対に飲酒運転はダメです。当たり前のことですが、せっかくの機会ですので飲酒運転は絶対にしないよう、社内に徹底しておきましょう。また、飲食店などにおいては運転者への酒類提供禁止がしっかり守られているか、再点検しておきましょう。
<おわりに>
以上、春の全国交通安全運動についてお伝えしてまいりましたが、時間的な余裕が無い場合などは、ポスターを社内に掲示するだけでもされてみてはいかがでしょうか。ポスターは全3種類が内閣府ホームページからダウンロードすることができます。また、春の全国交通安全運動についてさらに詳しくお調べになりたい場合は、こちらからご確認いただくことが可能です。