雇用保険には『被保険者期間』や『算定基礎期間』といった期間の概念があります。これらは手当の受給資格の判定に用いられたり、手当がどれぐらい受けられるかの判定に用いられたりするものです。今回はこれらの期間の通算について確認したいと思います。
被保険者期間とは
被保険者期間は雇用保険の基本手当などを受給する資格の有無を判定するために用いられます。
基本手当などは、原則として離職の日から2年間に賃金支払いの対象となる日が11日以上ある月が12月以上(会社都合ややむを得ない事情により解雇・退職する場合は、離職の日から1年間に賃金支払いの対象となる日が11日以上ある月が6月以上)あることが必要です。
被保険者期間は、入社日から退職日まで(説明を簡易にするため、入社日に雇用保険の資格を取得し、退職まで資格が継続していたものとします。)の期間の内、退職日から1か月ずつ区切っていき、賃金の支払いの対象となる日が11日以上ある月を被保険者期間とします。
被保険者期間の通算
この被保険者期間ですが、直近に働いていた会社をA社、その前に働いていた会社をB社とすると、A社とB社の被保険者期間を通算できる場合があります。通算するための条件は、B社を退職(被保険者資格を喪失)してからハローワークで基本手当などの受給資格を得ていないことです。B社を退職してから受給資格の確認を受けなかった場合(ハローワークに行かなかった)や受給資格が認められなかった場合(B社を退職した時点で受給資格に必要な被保険者期間が無かった)は、A社とB社の被保険者期間が通算されます。
算定基礎期間とは
算定基礎期間は雇用保険の基本手当などを受給する場合に、どの程度の支給を受けることができるかを判定するために用いられます。
基本手当は、算定基礎期間の長さによって支給される日数の上限が変わります。また、離職理由などによっては年齢と算定基礎期間の組み合わせによって支給される日数の上限が変わります。ハローワークインターネットサービスで支給日数の上限について最新の情報を確認することが可能です。
被保険者期間を考える場合は、「賃金の支払いの対象となる日が11日以上ある月」を見ていく必要がありましたが、算定基礎期間は単純に入社日から退職日(入社日に資格取得し、退職日まで資格が継続していた場合)までとなります。
算定基礎期間の通算
算定基礎期間もA社とB社の算定基礎期間を通算することができるのですが、無条件に通算できるわけではなく、次に該当する場合は通算できないことになっています。
- B社で被保険者資格を喪失してからA社で資格取得するまでが1年を超えているときは、B社の算定基礎期間を通算できません。
- B社を退職してから基本手当や再就職手当を実際に受給したときは、B社の算定基礎期間を通算できません。(B社を退職してから受給資格を得ただけで給付を受けていなければ通算できます。)
- 育児休業給付の支給を受けたことがある時は、育児休業給付の支給を受けた期間は算定基礎期間に通算できません。
被保険者期間の通算と異なり、基本手当などの受給資格を得ていても、給付を受けていなければ通算することができますので区別して覚えておきましょう。