最低賃金の改定（2018年　近畿）

近畿圏の最低賃金改定が決定しました。

＜地域別最低賃金-近畿-＞

＜改定後の最低賃金が適用されるタイミング＞

改定後の最低賃金は上の表にある「発効日」から適用されます。よって、例えば滋賀県の会社で毎月の賃金締日が10日であった場合、2018年9月11日から9月30日までは813円以上の賃金で構いませんが、10月1日から10月10日までは839円以上の賃金でなければなりません。一賃金計算期間中に時給が変わると計算事務が煩雑になりますので、この場合9月11日から新しい最低賃金額以上の賃金とすることも検討の余地があります。

また、22時から翌3時まで勤務するような場合、注意が必要です。先程と同じ滋賀県の会社で2018年9月30日の22時から勤務を開始したとすると、同日22時00分から23時59分までは813円以上で構いませんが、10月1日0時00分以降は839円以上でなければなりません。この場合は上記に加えてさらに計算が煩雑になりますので、9月30日の勤務開始から839円以上の賃金とするべきでしょう。

＜賃金が時間給以外の場合＞

最低賃金額は時間給で定められています。よって、日・週・月などの単位で賃金が定められている場合には、次の計算で算出した金額が最低賃金額を上回っている必要があります。

• 日給の場合　日給の額を1日の所定労働時間数（日によって所定労働時間数が異なる場合には、1週間における1日あたり平均所定労働時間数）で除した額
• 週給の場合　週給の額を1週の所定労働時間数（週によって所定労働時間数が異なる場合には、4週間における1週あたり平均所定労働時間数）で除した額
• 月給の場合　月給の額を1ヶ月の所定労働時間数（月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1ヶ月あたり平均所定労働時間数）で除した額
• 出来高払いその他の請負制によって定められた賃金については、賃金算定期間（賃金締切期間がある場合には、賃金締切期間）において出来高払い制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金算定期間の総労働時間数で除した額

＜最低賃金の計算から除外される賃金＞

次の賃金は最低賃金の計算に含めることができませんので（最低賃金法第4条第3項、最低賃金法施行規則第1条）、次の賃金を含まずに最低賃金額を上回る必要があります。

• 臨時に支払われる賃金及び1月を超える期間ごとに支払われる賃金（賞与など）
• 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金（残業手当など）
• 所定労働日以外の日にした労働に対して支払われる賃金（休日手当など）
• 深夜労働に対して支払われる賃金の内、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分（深夜手当など）
• 当該最低賃金において算入しないことを定める賃金（精皆勤手当、通勤手当、家族手当）

なお、手当の名称にかかわらず実態で判断することになりますので、例えば「子女手当」という名称であっても、実態が家族手当と変わりなければ、最低賃金額の計算に算入することは出来ません。

＜特定最低賃金に注意＞

一部の産業については産業別の特定最低賃金が適用される場合があります。地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される場合には、金額の高い方が最低賃金額となりますので、ご注意ください。（特定最低賃金の適用業種及び金額については、各都道府県労働局のホームページ等でご確認ください。）

＜事業場が複数の都道府県に点在する場合＞

事業場が複数の都道府県に点在する場合は、事業所の所在地となる各都道府県の最低賃金の適用を受けることになります。例えば本社が和歌山県で支社が大阪府にある場合、本社には和歌山県の最低賃金が適用され、支社には大阪府の最低賃金が適用されることになります。もし全社一律で和歌山県の最低賃金額をパートタイマーの時給としていた場合、支社で勤務するパートタイマーは大阪府の最低賃金額を下回ることになり、最低賃金法違反となってしまいます。

＜派遣労働者の場合＞

派遣労働者については、派遣元の所在地ではなく、派遣先所在地の地域別最低賃金（または特定最低賃金）が適用されます。

＜最低賃金違反の罰則＞

地域別最低賃金に違反した場合は、50万円以下の罰金が定められています（最低賃金法第40条）。また、特定最低賃金に違反した場合の罰則は最低賃金法に定められていませんが、労働基準法の賃金全額払いの原則（労働基準法第24条第1項）に違反することになるため、30万円以下の罰金となります（労働基準法第120条1号）。