国土交通省は、2018年7月1日から自動車運送事業者(トラック、バス、タクシー)が過労防止関連項目に違反した場合の行政処分を強化しました。今回はその中身についてご紹介したいと思います。
なお、2018年6月1日から旅客・貨物運送業において睡眠不足状態での運行が禁止になっております。当ホームページでもご紹介しておりますので、併せてご確認ください。(睡眠不足状態での運行禁止に)
行政処分強化の背景
自動車運送事業(トラック、バス、タクシー)の運転者は、全職業平均と比較して労働時間が約1~2割長く、いわゆる過労死の認定件数も職種別で最も多い実態にあり、長時間労働の是正や過労の防止は重要な課題となっています。今回の行政処分強化は、このような背景から生まれています。
1.過労防止関連の規則に違反した場合の処分量定引上げ
乗務時間等告示遵守違反(初違反)
自動車運送事業は手待ち時間が多くなりがちなことから拘束時間も長くなる傾向にあり、隔日勤務などの変則的な勤務体系になっていることもあります。そのため、拘束時間や休息時間、連続運転時間等について基準が定められており、それに違反した場合に行政処分が科されます。(基準についてはこちら)
<改正前>
未遵守5件以下 | 警告 |
未遵守6件以上15件以下 | 自動車等の使用停止10日車 |
未遵守16件以上 | 自動車等の使用停止20日車 |
未遵守31件以上 3名以上等 | 30日事業停止 |
<改正後>
改正前の処分に加えて、新たに次の処分を加算
未遵守1件 | 10日車 |
未遵守2件以上 | 20日車 |
健康診断未受診
<改正前>
未受診者数50%未満 | 警告 |
未受診者数50%以上 | 10日車 |
<改正後>
未受診者1名 | 警告 |
未受診者2名 | 20日車 |
未受診者3名以上 | 40日車 |
社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険)未加入
<改正前>
一部未加入 | 10日車 |
全部未加入 | 20日車 |
<改正後>
未加入1名 | 警告 |
未加入2名 | 20日車 |
未加入3名以上 | 40日車 |
その他
- 記録の改ざん・不実記載のような労働時間を管理する点で問題がある事項及び虚偽届出については処分を強化する
- 帳票類の「全て保存なし」については、「全て記録なし」と同じ処分量定に統一する など
2.自動車等の使用停止させる処分量定の引き上げ(トラックのみ)
トラック事業に関しては行政処分により使用停止となる車両数の割合が最大5割に引き上げられます。国土交通省のプレスリリースによる説明が分かりやすいため、以下に説明部分を抜粋します。
(国土交通省 プレスリリースより抜粋)