月曜から金曜までの週5日(各7時間)勤務のパートさんに、土曜日にも勤務してもらいました。この土曜日出勤に対して時給分の給与を支払いましたが、本人から休日割増手当を支給してほしいといわれました。休日割増手当を支払うべきなのでしょうか?
休日の割増賃金とは
労働基準法第37条では、「使用者が、(中略)労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」と定めています。
そして、政令(労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令 平成12年6月7日政令第309号)において、「労働基準法第三十七条第一項の政令で定める率は、同法第三十三条又は第三十六条第一項の規定により延長した労働時間の労働については二割五分とし、これらの規定により労働させた休日の労働については三割五分とする。」と定めています。
従って、パート従業員であっても「休日」に勤務した場合には三割五分以上の割増賃金を支払うことが必要です。
労働基準法における「休日」とは
次に、労働基準法で「休日」がどのように定められているか確認します。労働基準法第35条第1項には、「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない。」と定め、また同条第2項には「前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。」と定めています。一般的にこれを「法定休日」と呼びます。
従って、設問のケースでは1週間(週の起算日を日曜日とします。)の内、日曜日の休日で既に法定休日を満たしているため、土曜日の出勤は労働基準法第37条の「休日に労働させた場合」には該当しないことになります。(注1)(注2)
注1:就業規則等で法定休日を「毎週土曜日」と定めている場合は、土曜日出勤は法定休日の出勤となり、三割五分以上の割増賃金が必要となります。
注2:就業規則等で法定休日を「四週間を通じ四日以上の休日」と定めている場合であって、設問の土曜日出勤をした結果として四週間を通じて四日以上の休日を確保できなかった場合は、当該土曜日出勤を法定休日の出勤として三割五分以上の割増賃金が必要になることがあります。
休日労働の割増賃金は必要なくても
設問の土曜日出勤については休日の割増賃金は必要ありません(上記の注1や注2といった特別なケースを除く)。しかしここで注意が必要になるのが、時間外労働に対する割増賃金です。
労働基準法第32条では1週間の労働時間を40時間以内と定めており、同法第37条では労働時間を延長した場合の割増賃金支払を定めています。
設問のケースでは月曜日から金曜日までで7時間×5日の35時間を働いており、土曜日も7時間勤務させたとすると、1週間で42時間の労働となりますから、40時間を超える2時間分が時間外労働となり、二割五分以上の割増賃金が必要となりますので、注意が必要です。