学生も国民年金保険料の支払いが必要か?
日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者は、国民年金の被保険者(第1号被保険者)となります。(国民年金保険法第7条)
これは、学生であっても例外ではなく、国民年金の被保険者である以上は保険料の納付が必要です。但し、一定の要件を満たす場合には、保険料納付の猶予を受けることができる学生納付特例の申請をすることができます。
学生納付特例の要件
1.次の学校の生徒・学生であること
- 大学(大学院含む)
- 短期大学
- 高等学校
- 高等専門学校
- 特別支援学校
- 専修学校
- 各種学校(修業年限が1年以上の過程に在学している場合。また、私立の各種学校については都道府県知事の認可を受けた学校に限る。)
- 一部の海外大学の日本分校(文部科学大臣が個別にしたいした過程のもの)
なお、夜間・定時制課程や通信課程も含みます。対象となる具体的な学校は、日本年金機構ホームページで確認することができます。
2.本人の所得が基準以下であること
基準となる所得額は次の計算で求める金額です。
118万円+扶養親族等の数×38万円(※)
※扶養親族等が所得税法の「同一生計配偶者又は老人扶養親族」であるときは48万円、「特定扶養親族」であるときは63万円に読み替える。
学生等で所得税法上の扶養親族等があるケースはそれほど多くないと考えられますので、多くのケースでは本人の所得が118万円を下回っていれば、学生納付特例の対象になると考えてよいでしょう。
学生納付特例の申請先
「年金事務所」か「住民登録をしている市区町村役場の国民年金窓口」へ申請します。また、在籍中の学校が学生納付特例の代行事務を行う許認可を受けている場合は、在籍している学校を通じて申請することができます。
学生納付特例の適用を受けている期間について
老齢基礎年金を受給するには保険料の納付済み期間が10年以上必要ですが、学生納付特例の適用を受けている期間については、この10年の内にカウントされます(年金を「貰えるor貰えない」の判断については納付と同じ扱い。)。
一方で、実際には保険料を納付していませんので、給付額の計算には反映されません。
なお、10年以内であれば保険料を遡って納付することができる追納の制度がありますので、社会人になってから学生納付特例の適用を受けていた期間の保険料(※)を納めることで、将来の年金額を増やすことができるようになっています。(追納するかどうかは任意です。)
※当時の保険料に経過期間に応じた加算額が上乗せされます
<重要>障害基礎年金との関係について
国民年金の被保険者である期間に、一定程度以上の障害を負った場合(又は死亡した場合)は、障害基礎年金(又は遺族基礎年金)の対象となりますが、保険料納付要件(※1)(※2)を満たしている必要があります。
※1 障害に係る初診日(又は死亡日)の属する月の前々月までの被保険者期間の内、保険料納付済期間と保険料免除期間が2/3以上
※2 又は、障害に係る初診日(又は死亡日)の属する月の前々月までの1年間に未納期間がない
学生納付特例の適用を受けている期間については保険料の未納期間とはならず、保険料納付要件の判定で不利になることはありません。一方で、学生納付特例の手続きをせずに保険料を滞納している場合は未納期間となり、その結果、保険料納付要件を満たすことができずに障害基礎年金(又は遺族基礎年金)が受給できない可能性があります。
学生納付特例の適用を受ける場合と、保険料を滞納している場合を比較した場合、「保険料を支払っていない」という点では同じですが、「未納期間になる・ならない」という点に大きな違いがありますので、学生の期間に国民年金保険料の納付が難しい場合は、必ず学生納付特例の申請をしておきましょう。