2020年度 最低賃金引き上げの行方は?
2020年7月1日
日本商工会議所ならびに東京商工会議所は、『最低賃金引上げの影響に関する調査(※)』を実施し、結果を取りまとめました。
※調査対象:全国の中小企業4125社 調査期間:2020年2月3日~3月6日
2020年度の調査では、最低賃金の上昇により賃金額を引き上げる必要が生じた中小企業の割合は41.8%で、前年の38.4%から増加しています。また、2015年度の20.7%からは倍増以上となっており、近年の急激な最低賃金上昇の様子が見て取れます。
仮に今年度も最低賃金が引上げられた場合に経営への影響を受けると回答した企業の割合は、10円の引き上げで33.1%、20円の引き上げで43.9%、30円の引き上げで58.5%となっています。この結果から、調査回答企業の3割強の企業では賃金が最低賃金と同額かそれに近い金額の賃金を支払う従業員がいるものと推測されます。
厚生労働省の中央最低賃金審議会は、6月26日に2020年度の最賃引き上げについて議論を開始しました。日本商工会議所が新型コロナウイルス感染症の影響を理由に「最賃引き上げ凍結」を強く主張するなどする一方、日本労働組合総連合会は最低賃金を今年も引き続き3%程度引き上げるように主張しています。
筆者としては、新型コロナウイルス感染症の影響で企業規模にかかわらず大きなダメージを受けている企業が多いうえに、ダメージからの立ち直りに数年は掛かると思われることから、本年度は勿論のこと、少なくとも今後2、3年は最低賃金引き上げを凍結すべきではないかと思います。
中央最低賃金審議会では7月下旬に本年度の最低賃金引き上げの目安を策定する見込みとなっており、引き続き動向を注視する必要がありそうです。