雇用保険の失業等給付が柔軟な働き方に対応

 雇用保険の失業等給付の受給資格を得るためには、原則として、離職をした日以前の2年間(※1)に「被保険者期間」が通算して12ヶ月以上(※2)あることが必要です。

 この「被保険者期間」の計算方法が令和2年8月1日から変更されることになりました。

※1 出産・育児や病気等で30日以上継続して賃金の支払いが無い期間があった場合は、最長4年間まで遡ることが可能です。
※2 解雇の場合等は1年間に「被保険者期間」が6ヶ月以上に緩和されます。

<改正前>

 離職日から遡って1ヶ月ごとに期間を区切り、賃金支払いの対象となる日が11日以上ある期間を被保険者期間として算入する。

期間

賃金支払い対象日数

被保険者期間への参入

10/1~10/31

10日

×

9/1~9/30

23日

8/1~8/31

20日

上表で「○」となっている期間が原則として、直近2年間に12ヶ月あれば、失業等給付の受給資格を得ることができます。

<改正後>

 離職日から遡って1ヶ月ごとに期間を区切り、賃金支払いの対象となる日が11日以上あるか、または賃金支払いの対象となる時間が80時間以上ある期間を被保険者期間として算入する。

期間

賃金支払い対象日数

賃金支払い対象時間

被保険者期間への参入

10/1~10/31

10日

82時間

9/1~9/30

23日

190時間

8/1~8/31

20日

170時間

 改正前であれば被保険者期間へ算入することができなかった10/1~10/31の期間を、今後は被保険者期間として算入することができます。

 雇用保険への加入義務は「31日以上雇用見込み、かつ、週の労働時間が20時間以上」で発生します。そうすると、「1日10時間・週2日勤務で1年契約」のような場合は雇用保険への加入が必要ですが、週2日勤務なので賃金支払いの対象となる日数が11日未満となることがほとんど(2日×4週=8日)で、失業等給付の受給資格を得ることができないということが起こり得ました。

 柔軟な働き方に世の中がシフトしつつあることを考えると、今回の改正は非常に有意義な改正と言えるのではないでしょうか。