外国人労働者とのコミュニケーション①

 厚生労働省から公表されている統計情報によると、令和2年10月末現在で外国人労働者を雇用している事業所数が267,243か所、外国人労働者数は1,724,328人でした。平成28年はそれぞれ172,798か所、1,083,769人でしたから、この数年で大幅に外国人雇用が広がっていることが統計から分かります。

 また、外国人雇用に関する制度面でも、在留資格「特定技能」や「特定活動(本邦大学卒業者)」の新設により、単純労働の分野での外国人雇用をより一層拡大させる下地を整えてきています。

 とは言え、まだまだ外国人を雇用したことのある企業は少ないのが現状です。初めて外国人を雇用する場合などでは、文化の違いや言葉の問題で外国人雇用がうまくいかないケースがあるのではないでしょうか。

 この問題に対処するため、経済産業省と厚生労働省は動画教材やツールを提供しており、今回は経済産業省の動画教材をご紹介します。(厚生労働省のツールは次回ご紹介します。)

経済産業省 動画教材「日本人社員も外国籍社員も 職場でのミスコミュニケーションを考える」

 経済産業省では、職場における外国人労働者との効果的なコミュニケーションに向けた学びについて、企業における実証調査を行い、ウェブ上で活用できる動画教材を作成し、オープンデータとして公表しています。

 動画はユーチューブで公開されており、誰でも、いつでも、どこでも無料で視聴することが可能です。現状(2021.6.1)は20の具体的な事例が公表されていますが、事例ごとに問題編と解説編がありますので、問題編の動画を使ってグループ討論するような使い方もできますし、解説編だけを見て手早く要点を抑えるような使い方も可能です。

 動画教材から一例を挙げると、外国人社員が一時帰国して結婚式に出席するために2~3週間の有給休暇を希望する事例があります。日本ではまとまった有給休暇を取得するケースはまだまだ少ないので、驚いてしまうかもしれません。

 解説編では、「結婚や葬式などが、日本よりも長い国があります。(中略)長い間、国に帰る必要があります。」などの解説がされています。

 外国人労働者からすると2~3週間の休みが必要になるのは当たり前と思っていますから、何故2~3週間の休みが必要になるのかわざわざ説明しないかもしれません。一方、日本人の側では、結婚式で帰国したついでに遊んでくるのかぐらいに考えて、理由を深く尋ねず「もっと休暇が短くても大丈夫だろう」と頭ごなしに叱ってしまうかもしれません。

 このような文化的な違いや労働に対する考え方の違いで意思の疎通が上手くいかないケースは、外国人労働者と一緒に働くうえではよくあることです。問題は、外国人労働者や周りの日本人が文化的な違いや価値観の違いがあることにお互いなかなか気付かない点にあります。

 この動画教材はそのような違いがあることに気付くきっかけになりますし、違いがあることに気付くことができれば、外国人労働者と周りの日本人との間でお互いに歩み寄って課題を解決することも可能になるのではないでしょうか。

 経済産業省ホームページに動画教材のリンクがありますので、そちらからご覧ください。その他、関連資料のダウンロードなども可能となっております。

 また、動画教材をすぐにご覧になりたい方は、以下のURLアドレスからご覧ください。https://www.youtube.com/playlist?list=PLcRmz7bR5W3kCaWuRjnba0HVNwg4BPqsk