不妊治療と仕事を両立できる職場環境を整備する事業主におすすめの助成金
2021年9月1日
今なお少子高齢化が進んでいるところですが、国としても出産・子育てのし易い社会に向けて少しずつ制度整備を進めてきています。直近10年ぐらいでも、保育所の待機児童解消の取り組み、産休中の健康保険・厚生年金保険料の免除制度の開始、育児休業給付の支給額アップ(受給開始から180日間)、育児休業がしやすい法整備(育休取得可能期間を子が2歳に達するまで延長、子の看護休暇取得の時短単位取得も可能に、等)など、矢継ぎ早に対策を繰り出してきています。
ところで、2017年のデータによると、この年の全出生児946,065人の内、何らかの不妊治療による出生児が56,617人(約6%)となっており、無視できないものとなっている一方、同じく2017年の厚生労働省の調査によると、不妊治療を経験した(または予定している)労働者の内、約半数は不妊治療と仕事の両立が困難という結果でした。
そして国としても不妊治療に対する支援が必要であるということで、不妊治療と仕事を両立できる職場づくりを推進することを目的とした新たな助成金制度が2021年4月からスタートしました。
両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)
【支給対象事業主】
次の1~6の内、1つ以上の休暇制度・両立支援制度に取り組み、不妊治療を行う労働者に制度を利用させた中小企業事業主が対象です。
- 不妊治療のための休暇制度
- 所定外労働制限制度
- 時差出勤制度
- 短時間勤務制度
- フレックスタイム制
- テレワーク
【支給要件】
次の1~4のすべてを満たすことが必要です。
- 不妊治療と仕事を両立するための社内ニーズ調査(アンケート調査や自己申告制度の活用など)を実施すること
- 整備した休暇制度・両立支援制度について就業規則等に規定し、周知すること
- 不妊治療を行う労働者の相談に対応し、支援する「両立支援担当者」(人事労務担当者や産業保健スタッフ等が考えられ、資格や役職は問いません。)を選任すること
- 両立支援担当者が、不妊治療を行う労働者のために「不妊治療両立支援プラン」(休暇制度・両立支援制度の利用希望者からヒアリングをしたうえで、制度を利用する期間やその間の業務分担等、不妊治療と仕事を両立しやすい職場環境整備を図るために策定するプランになります。)を策定すること
【支給額】
次のA、Bの要件を満たした場合、それぞれ1中小企業主あたり以下の額が支給されます。
A 環境整備、休暇の取得等 | B 長期休暇の加算 |
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支給要件をすべて満たし、最初の労働者が不妊治療のための休暇制度・両立支援制度を合計5日(回)利用した場合 | 左記Aを受給した事業主で、労働者に不妊治療休暇制度を20日以上連続して取得させ、原職等に復帰させ3か月以上継続勤務させた場合 |
28.5万円(36万円) | 28.5万円(36万円) |
なお、本助成金には、これ以外にも細かい支給要件がございますので、詳細は厚生労働省ホームページをご確認ください。