職業訓練を実施する事業主が利用できる助成金
人材育成に関する助成金として「人材開発支援助成金」があります。このうち「特定訓練コース・一般訓練コース」では、職務に関連した専門的な知識・技能の習得を目的として、計画に沿った訓練を実施した場合に、訓練中の賃金の一部と訓練にかかった経費の一部が助成されます。
人材開発支援助成金(特定訓練コース·一般訓練コース)
【コースの概要】
A. 一般訓練コース
次に紹介する特定訓練コース以外の、職務に関連した専門的な知識および技能を習得させるための職業訓練等を20時間以上実施した場合に助成されます。
B.特定訓練コース
10時間以上の特定訓練などを実施した場合に助成されます。訓練は以下のように区分されています。区分ごとに細かな要件がありますので、助成金を利用する際には確認が必要です。
<OFF-JTにより行われる訓練>
- 労働生産性向上訓練(職業能力開発促進センターが実施する高度職業訓練などが対象)
- 若年人材育成訓練(雇い入れ後5年未満、かつ、35歳未満の労働者が対象)
- 熟練技能育成・承継訓練(熟練技能者の指導力を強化する訓練などが対象)
- グローバル人材育成訓練(海外拠点の管理、海外の市場調査、海外での契約などに携わる従業員に対して行う、それらの業務に関連する訓練などが対象)
<OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練>
- 特定分野認定実習併用職業訓練(建設業、製造業、情報通信業に関連する訓練が対象)
- 認定実習併用職業訓練(厚生労働大臣の認定を受けた実習併用職業訓練を実施のうえ、ジョブ・カードによる職業能力評価を行うものが対象)
【対象事業主の主な要件】
- 雇用保険適用事業所の事業主であること。
- 事業内職業能力開発計画およびこれに基づく年間職業能力開発計画を作成し、その計画の内容を労働者に周知していること。
- 職業能力開発推進者を選任していること。
【支給対象労働者の主な要件】
- 訓練実施期間中に雇用保険被保険者(有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者は除く)であること。
- 訓練実施計画届時に提出した「訓練別の対象者一覧」に記載のある被保険者であること。
- 訓練を受講した時間数が、実訓練時間数の8割以上であること。
<対象となる経費>
(1)事業内訓練の場合
講師への謝金・手当・旅費、施設・設備の借上費、学科や実技の訓練に必要な教科書等の購入・作成費
(2)事業外訓練の場合
受講に際して必要となる入学料・受講料・教科書代等、あらかじめ受講案内等で定めているもの
<対象となる賃金>
訓練期間中の所定労働時間内の賃金について、賃金助成の対象となります。
【中小企業に対する助成率・助成額】
コースごとの助成率・助成額は以下のようになります。
訓練 | 経費助成率 | 賃金助成額 | OJT実施助成額 |
---|---|---|---|
特定訓練(OFF-JT) | 45%(60%) | 760円(960円) | – |
特定訓練(OJT) | – | – | 665円(840円) |
一般訓練(OFF-JT) | 30%(45%) | 380円(480円) | – |
※賃金助成・OJT実施助成は1人1時間あたりの金額です。
※OJT実施助成は雇用型訓練のみです。
※( )内は生産性向上が認められる場合の金額です。
【中小企業に対する支給限度】
なお、経費助成・賃金助成・OJT実施助成には、先程の助成率・助成額のほかに、それぞれ支給限度が定められています。
<経費助成の限度額>
訓練 | 20時間以上(※1) 100時間未満 | 100時間以上 200時間未満 | 200時間以上 |
---|---|---|---|
特定訓練(※2)(※3) | 15万円 | 30万円 | 50万円 |
一般訓練(※4) | 7万円 | 15万円 | 20万円 |
※1特定訓練コース及び育児休業中等の者に対する訓練は、10時間以上100時間未満です。
※2育児休業中の者に対する訓練等は30万円が限度です。
※3専門実践教育訓練または特定一般教育訓練給付指定講座により通信制等で実施する訓練等については、50万円が限度です。
※4一般教育訓練給付指定講座により通信制等で実施する訓練等については、20万円が限度です。
<賃金助成の限度時間>
「1200時間」が上限。(但し、認定職業訓練、専門実践教育訓練については「1,600時間」が上限。)
<OJT実施助成の限度時間>
「680時間」または「厚生労働大臣の認定を受けた訓練計画のOJTカリキュラムの時間」のいずれか低い方が上限。
なお、この助成金には、これ以外にも細かい支給要件が多数ございます。詳細は厚生労働省ホームページで確認可能です。