キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)

 障害者雇用や待遇の改善については、年々制度面での整備が進んでいますが、その一環で設置された助成金の1つがキャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)です。

 有期雇用の障害者を正規雇用又は無期雇用に転換したり、無期雇用の障害者を正規雇用に転換したりする取り組みが対象になります。今回は助成金の具体的な内容を説明します。

対象となる労働者

 対象となる労働者の主な要件は以下のとおりです。

  1. 申請事業主に雇用される労働者であること
  2. 転換を行った日の時点で、次のいずれかに該当する労働者であること
  • 身体障害者
  • 知的障害者
  • 精神障害者
  • 発達障害者
  • 難病患者
  • 脳の機能的損傷に基づく精神障害である高次脳機能障害であると診断された者
  1. 就労継続支援A型事業における利用者でないこと
  2. 賃金の額または計算方法が「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」の適用を6カ月以上受けて雇用している有期または無期雇用労働者

対象となる事業主

 事業主に求められる主な要件は以下のとおりです。

  1. 対象労働者を正規雇用労働者又は無期雇用労働者に転換後、転換の初日から6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して支給対象期分の賃金を支給していること。第2期については第2期の初日から6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して支給対象期分の賃金を支給していること
  2. 転換した日以降の期間について、対象労働者を雇用保険被保険者として適用していること
  3. 転換した日以降の期間について、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者にしていること(但し、社会保険の適用事業所であり、かつ、社会保険の被保険者となる労働条件で雇用している場合に限る。)
  4. (多様な正社員に転換する場合)多様な正社員の雇用区分を労働協約、就業規則などに規定していること
  5. 転換する際に、対象労働者の同意を得ていること

対象となる措置

 次の1または2の措置が本助成金の対象となります。

  1. 本助成金の対象となる有期雇用労働者を正規雇用労働者(多様な正社員を含む)又は無期雇用労働者に転換する
  2. 本助成金の対象となる無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換する

支給額

 転換1人当たりの支給額は以下のとおりです。(括弧内は中小企業以外の場合)

<重度身体障害者、重度知的障害者および精神障害者を転換した場合>

有期雇用から正規雇用への転換…60万円×2期(45万円×2期)

有期雇用から無期雇用への転換…30万円×2期(22.5万円×2期)

無期雇用から正規雇用への転換…30万円×2期(22.5万円×2期)

<身体障害者(重度身体障害者を除く)、知的障害者(重度知的障害者を除く)、発達障害者、難病患者、高次脳機能障害と診断された者を転換した場合>

有期雇用から正規雇用への転換…45万円×2期(33.5万円×1期+34万円×1期)

有期雇用から無期雇用への転換…22.5万円×2期(16.5万円×2期)

無期雇用から正規雇用への転換…22.5万円×2期(16.5万円×2期)

申請期間

 申請期間は各期ごとに以下のとおりです。

第1期…対象労働者に、転換後の賃金を、6カ月分支給した日の翌日から起算して2カ月以内。

第2期…第1期支給対象期の次の6カ月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2カ月以内。