建設業、運送業、病院等、砂糖製造業については時間外労働の上限規制が適用猶予されていますが、2024年4月1日からはこれらの業種についても時間外労働の上限規制が適用されます。

　それまでに生産性を向上させ、時間外労働の削減、週休２日制の推進、勤務間インターバル制度の導入、医師の働き方改革推進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援する助成金をご紹介します。

対象となる事業主

• 労働者災害補償保険の適用を受ける中小企業事業主(資本金または出資額が３億円以下または常時使用する労働者が300人以下)であること
• 建設業、運送業、病院等、砂糖製造業のいずれかに該当すること
• 年５日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること
• 交付申請時点で、後述する成果目標の設定に向けた条件を満たしていること

助成対象となる取組

以下から１つ以上を実施することが必要です。

1. 労務管理担当者に対する研修
2. 労働者に対する研修、周知・啓発
3. 外部専門家（社会保険労務士、中小企業診断士など）によるコンサルティング
4. 就業規則・労使協定等の作成・変更
5. 人材確保に向けた取組（求人サイトや求人情報誌への掲載、HP作成等）
6. 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
7. 労務管理用機器の導入・更新
8. デジタル式運行記録計（デジタコ）の導入・更新
9. 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新（運送業であれば洗車機など）

成果目標

　以下から1つ以上を選択してその達成を目指すことが必要です。なお、業種によっては選択できない目標がありますので、ご注意ください。

1. 全ての対象事業場において、令和５年度又は令和６年度内において有効な36協定について、時間外・休日労働時間数を縮減し、「月60時間以下又は月60時間を超え月80時間以下（病院等については月80時間以下で可）」に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届出を行うこと
2. （建設業のみ）全ての対象事業場において、4週5休から4週8休以上の範囲で所定休日を増加させること
3. （運送業と病院等のみ）全ての対象事業場において、9時間以上の勤務間インターバルを導入すること（新規導入、適用範囲の拡大、時間延長）
4. （病院等のみ）医師の働き方改革推進に関する取組として①労務管理体制の構築等（労務管理責任者の設置、副業・兼業を行う医師の労働時間通算や休息時間確保及び管理者層への人事労務マネジメント研修の実施）及び②医師の労働時間の事態把握と管理（労働時間と労働時間ではない時間の区別を明確にした労働時間の把握及び医師の勤務計画作成）をすべて実施すること

事業実施期間

　交付決定の日から2024年1月31日までに取り組みを実施することが必要です。

助成額

　以下のいずれか低い額となります。

• 次の1～4の上限額及び賃金加算額の合計額
• 対象経費の４分の３（支給対象となる取組の6～9を実施する場合に所要額が30万円を超える場合は5分の4）

1.　36協定の時間数（時間外労働と休日労働の合計）を縮減した場合の上限額

＜病院等以外の業種＞

• 月80時間超から月60時間以下にする⇒250万円
• 月80時間超から月60時間超80時間以下にする⇒150万円
• 月60時間超から月60時間以下にする⇒200万円

＜病院等＞

• 月100時間超から月80時間以下にする⇒250万円
• 月90時間超から月80時間以下にする⇒200万円
• 月80時間超から月80時間以下にする⇒150万円

2.　（建設業）４週５休から４週８休以上の範囲で所定休日を増加した場合、1日増加ごとに25万円（上限100万円）

3.　（運送業、病院等）勤務間インターバル制度を導入した場合

• 休息時間9時間以上11時間未満⇒100万円（既存の制度を拡充した場合は50万円）
• 休息時間11時間以上⇒150万円（既存の制度を拡充した場合は75万円）

4.　（病院等のみ）医師の働き方改革推進に関する取組を行った場合の上限額は50万円

賃金加算額（賃金額の引上げを成果目標に加えた場合の加算額）