新型コロナウイルス感染症に関する見舞金等の取扱い(社会保険)
2020年8月1日
健康保険及び厚生年金保険においては、「労働の対象として受ける全てのもの」を報酬とするよう定められていますが、恩恵的なもの(結婚祝金など)や実費弁証的なもの(出張旅費など)は報酬の範囲から除かれています。
この度、新型コロナウイルス感染症に関連して従業員に支払う見舞金等の取扱いが厚生労働省より示されました(年管管発0616第2号 令和2年6月16日)。
結論から申し上げますと、次の全てに該当するものは恩恵的なものとして報酬には該当しないことになります。
- 心身又は資産に加えられた損害につき支払いを受けるもの
- 支給額が社会通念上相当であるもの
- 役務の対価たる性質を有していないもの
以下、3要素についてもう少し掘り下げてみましょう。
<心身又は資産に加えられた損害につき支払いを受けるものとは>
- 従業員やその親族が新型コロナウイルス感染症に感染したために支払うもの(見舞金的なもの)
- 緊急事態宣言下にあっても、感染する可能性が高い業務に従事せざるを得なかったり、心身に相当な負担が掛かっていたりするために支払うもの(慰労金的なもの)
- 従業員やその親族が新型コロナウイルス感染症に感染するなどして、所有する資産を廃棄せざるを得なかった場合に支払うもの
<支給額が社会通念上相当であるものとは>
- 支給額が感染の可能性や感染の事実に応じた金額であるもの
- 支給額が事業所における就業規則や過去の取扱いに照らして相当なもの
(筆者注:支給額が著しく高額であったり、明確な理由なく従業員間で支給・不支給の差や支給金額の差があったりすると、社会通念上相当なものではないとされる可能性が高くなると考えられます。)
<役務の対価たる性質を有していないとは>
- 給与を減額した上で、減額に相当する額を支払うものではないこと
- 感染リスクの程度等にかかわらず一律で支給されるものではないこと(注)
- 感染リスクが同程度の従業員が複数いる場合で、その内の特定の者だけに支払うものではないこと
- 支給額が基本給等の金額に基づいて決定されたものではないこと
注:一律で支給されるものであっても、総合的に判断して役務の対価たる性質を有していないと認められる場合もあるようですので、詳しくは管轄の年金事務所にご確認ください。
以上、新型コロナウイルス感染症に関する見舞金等の取扱いについてのご紹介でした。なお、労働保険においても同様の取扱いとのことですので、来年の年度更新手続きでは注意しましょう。
<参考>
新型コロナウイルス感染症に関する見舞金等について、所得税の取扱いに関して国税庁より通達が出ておりますので、詳しくは国税庁ホームページにてご確認ください。