在宅勤務で生産性は上がる?下がる?

 新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言をきっかけに在宅勤務をはじめた方も多いと思いますが、公益財団法人 関西生産性本部が在宅勤務に関する意識調査の結果を公表しています。

 それによると、在宅勤務で仕事の生産性が「高くなる・やや高くなる」35%「低くなる・やや低くなる」42%となっています。調査が行われたのが5/29~6/5の期間であり、在宅勤務を急遽はじめたケースが多かったと思われ、それにより生産性が「低くなる」の回答が増えたのではないかと思われます。(なお、調査はWEBアンケートの形式で行われたものであり、主観による回答となっている点は留意が必要です。)

 興味深いのが年代別の回答結果です。在宅勤務ではIT機器が必要になると思われますが、IT機器に抵抗が無いと思われる20歳代で生産性が「低くなる・やや低くなる」の回答が50%あるのに対して、IT機器が苦手な人の割合が高いと思われる60歳代で生産性が「高くなる・やや高くなる」の回答が40%あることです。

 筆者の単なる想像ですが、20歳代は仕事が独り立ちしておらず、在宅勤務では許可待ち・指示待ち・指導待ちで業務の中断が発生するなどして生産性が低くなるのかもしれません。(その他、他人の目が無いとだらけてしまうといった理由もあるかもしれませんが、それはある意味で緊急性・重要性・必要性の低い仕事が日常的に人の手を埋めてしまっているということかもしれません。)

 ちなみに、同調査で在宅勤務時の出社の必要性についても調査されており、20歳代は89%が「必要性あり」と回答しているのに対し、30歳代から60歳代までの各年代では20歳代と比べて「必要性あり」との回答が15%~20%程度低くなっており、筆者の想像がそう間違ってはいないことを間接的に示しているのではないでしょうか。

 一方で、60歳代は自立的に仕事を進められることに加えて、子育ての負担が少ない(30歳代や40歳代だと在宅勤務中の子育てが負担になる可能性がある。)こともあって、生産性が高くなる回答が多いのかもしれません。

 今回のコロナ禍では緊急避難的に在宅勤務が行われましたが、今後も業種や職種によっては一定程度の定着が見られるものと思われます。ご紹介した調査結果では、どちらかと言えば生産性が下がるという結果となっていますが、今後どのような変化が起こっていくのか要注目です。