新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金について

 今回はまずお伝えしたいことを先に述べます。新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金は、「シフトを作成しなかったパート・アルバイト等の方」も対象になります。

 そもそも新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金ですが、雇用調整助成金と比べて知名度がいまいちです。当該支援金・給付金は、「新型コロナウイルス感染症に関連して休業となったが休業手当が支払われない労働者」が対象となります。ちなみに、支給額は次の計算によって算定した額となります。

休業前の1日当たり平均賃金 × 80% × (各月の暦日数 - 就労又は労働者の事情で休んだ日数)

※休業1日当たり11,000円が上限となります。

 

 休業支援金・給付金の創設当初から分かりにくかったのが、休業手当の支払い義務との関係性です。改めて言及するまでもなく、労働基準法第26条によって「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合」には休業手当の支払い義務が生じますが、休業支援金・給付金においては休業手当の支払い義務については一旦切り離し、休業支援金・給付金の支給要件に該当すればとにかく支払うという姿勢です。

※休業手当の支払い義務のあることが明らかである場合には、雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金を活用する等して、休業手当をお支払いください。

 そしてもう1点分かりにくかったのが、シフトが作成されるまで労働日が確定しない労働者(パート・アルバイト等)の取扱いです。例えば店舗を1ヶ月の臨時休業とする場合、その期間のシフトは通常作成しないと思いますが、そうするとパート・アルバイト等の労働日が特定されず、労働義務も生じないと考えられます。そうすると、①労働日が特定されていないことから休業を命じる必要もなく、②労働義務が生じないので反対給付としての休業手当の支払いも生じない、ということになります。

 休業支援金・給付金は「休業したにもかかわらず休業手当が支払われない」労働者が対象となるとされていますので、その要件を素直に当てはめれば、シフトが作成されなかった場合には休業支援金・給付金の対象にはならないように思えます。しかしながら、仕事をすることができないパート・アルバイト等は現に収入が途絶えてしまい支援が必要なことから、「過去の勤務実績等から新型コロナウイルス感染症の影響が無ければ勤務していただろう範囲」で休業支援金・給付金を支払う取扱いとなっています。

 休業支援金・給付金は申請にあたって使用者・労働者双方の証明等が必要になるのですが、上記2点があまり周知されていなかったこともあって、使用者が書類作成を渋り申請できないというケースがかなりあったようです。

 そこで厚生労働省は昨年11月以降、事業主に対して改めて休業支援金・給付金の申請書作成についての協力を求める通知を出しました。その他詳細につきましては厚生労働省ホームページにてご確認をお願い致します。

 事業主の皆さまについては、労働者から休業支援金・給付金の相談があった場合には前向きに対応をお願いできればと思います。