コロナ禍の介護離職を防ぐ!介護のための有給休暇制度の整備を助成

 家族の介護が必要な従業員のなかには、今回のコロナ禍で介護施設や介護サービスが利用できなくなり、介護の負担が増えている人も多くいます。この状況を受け、両立支援助成金(介護離職防止支援コース)に『新型コロナウイルス感染症対応特例』が創設されています。

介護離職防止支援コース(新型コロナウイルス感染症対応特例)

【支給要件】

 以下のすべての要件に該当することが必要です。

新型コロナウイルス感染症への対応として、介護のための有給休暇制度を設け、当該制度を含めて仕事と介護の両立支援制度の内容を社内に周知すること

介護のための有給休暇制度を就業規則に定めていなくても助成金の対象になるとされています。但し、就業規則作成義務のある常時10人以上の労働者を使用している事業主においては、休暇に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項であることから、遅滞なく就業規則を変更し、所轄の労働基準監督署へ届け出る必要があることに留意が必要です。

※介護のための有給休暇制度は、所定労働日の20日以上取得できるものであり、法定の介護休業、介護休暇、年次有給休暇とは別の休暇制度であることが必要です。また、休暇中の賃金を全額支給する必要があります。

新型コロナウイルス感染症の影響により対象家族の介護のために仕事を休まざるを得ない労働者が、上記の休暇を合計5日以上取得すること

※新型コロナウイルスの影響で介護のため年次有給休暇を取得・欠勤をした従業員がいる場合、本人の同意があれば、事後的に『介護のための有給休暇』に振り替えても助成金の対象となります。

※対象となる休暇の取得期間は、2020年4月1日~2021年3月31日です。

【対象となる労働者】

 以下のいずれかの要件に該当することが必要です。

介護が必要な家族が通常利用している(または利用しようとしている)介護サービスが、新型コロナウイルス感染症による休業等により利用できなくなった場合

※対象となる『介護が必要な家族』の範囲は、配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母のほか、同居の親族となります。

介護が必要な家族が通常利用している(または利用しようとしている)介護サービスについて、新型コロナウイルス感染症への対応のため利用を控える場合

介護が必要な家族を通常介護している者が、新型コロナウイルス感染症の影響により家族を介護することができなくなった場合

【支給額】

 対象労働者1人当たり以下の額が支給されます。

休暇の取得日数支給額
合計5日以上10日未満20万円
合計10日以上35万円

※休暇の日数は対象労働者ごとに判断します。

※1事業主あたり5人分まで申請可能です。

※例えば休暇を5日取得した労働者について申請・受給(20万円)した後に、当該労働者がさらに休暇を取得して合計10日以上となった場合は、差額の15万円を申請・受給することが可能です。

【申請方法】

 支給要件を満たした日の翌日から起算して2カ月以内に、各都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に申請します。

※支給要件を満たした日とは、休暇の取得日数が合計5日に達した日、又は合計10日に達した日です。

 なお、就業規則等に休暇制度を規定した上で、対象労働者にかかる『介護支援プラン』を策定した場合は、通常の両立支援助成金(介護離職防止支援コース)も併給できます。

 介護離職は会社にとってもダメージが大きいので、助成金を活用して介護離職の防止を検討してみてはいかがでしょうか。なお、本助成金にはこれ以外にも細かい支給要件がございますので、詳細は厚生労働省ホームページ等をご確認ください。