教育訓練給付金を知らないのはもったいない

 雇用保険に教育訓練給付金という給付制度があるのはご存じでしょうか?筆者のこれまでの経験上、知っている人は少ないというのが実感です。

 雇用保険を失業時の給付とだけ考えていては勿体ないので、教育訓練給付を活用して自己研鑽に励んでみてはいかがでしょうか。

3種類の教育訓練給付金

一般教育訓練に関する教育訓練給付金>

 働く人の主体的な能力開発の取り組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を目的とする雇用保険の給付制度です。一定の条件を満たす雇用保険の被保険者(在職者)または被保険者であった方(離職者)が、厚生労働大臣の指定する一般教育訓練を受講・修了した場合、教育訓練施設に支払った教育訓練経費の一部が支給されます。

特定一般教育訓練に関する教育訓練給付金>

 職業に関して必要な知識や技能が変化する中で、労働者の主体的な能力開発の取組を支援し、速やかな再就職及び早期のキャリア形成の促進を図ることを目的とする雇用保険の給付制度です。一定の条件を満たす雇用保険の被保険者(在職者)または、被保険者であった方(離職者)が、厚生労働大臣の指定する特定一般教育訓練を受講・修了した場合、教育訓練施設に支払った教育訓練経費の一部が支給されます。

専門実践教育訓練に関する教育訓練給付金>

 働く人の主体的で中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする雇用保険の給付制度です。一定の条件を満たす雇用保険の被保険者(在職者)または、被保険者であった方(離職者)が、厚生労働大臣の指定する専門実践教育訓練を受講・修了した場合、教育訓練施設に支払った教育訓練経費の一部が支給されます。

<参考:専門実践教育訓練に関する教育訓練支援給付金>

 専門実践教育訓練給付金が支給される場合で、専門実践教育訓練が昼間通学制であるなど一定の要件を満たした上で失業状態にあるときは、雇用保険の基本手当日額の80%相当が支給される制度です。教育訓練支援給付金の認定日(2か月に1回)に失業の認定を受けることが必要です。

各教育訓練給付金の支給対象者

訓練の種類 雇用保険の被保険者 (在職者) 雇用保険の資格喪失後 (離職者)
一般教育訓練支給要件期間3年以上(※1)資格喪失後1年以内(※2)、かつ支給要件期間3年以上(※1)
特定一般教育訓練支給要件期間3年以上(※1)資格喪失後1年以内(※2)、かつ支給要件期間3年以上(※1)
専門実践教育訓練支給要件期間3年以上(※3)資格喪失後1年以内(※2)、かつ支給要件期間3年以上(※3)

※1:初めて支給を受ける場合は1年以上

※2:妊娠、出産、育児、傷病などの理由で30日以上継続して教育訓練の受講を開始できない場合は、申し出により資格喪失後20年まで延長可能

※3:初めて支給を受ける場合は2年以上

各教育訓練給付金の支給額

<一般教育訓練>

 教育訓練経費(2万円を超えることが必要)の20%または10万円のいずれか低い方。

<特定一般教育訓練>

  教育訓練経費(1.6万円を超えることが必要)の40%または20万円のいずれか低い方。

<専門実践教育訓練>

 教育訓練経費(8千円を超えることが必要)の50%または120万円(訓練期間1年:40万円、訓練期間2年:80万円)のいずれか低い方。

 なお、教育訓練修了後に専門資格等を取得しており、教育訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者である場合は、追加給付があります。

 追加給付の額は「教育訓練経費(8千円を超えることが必要)の20%または48万円(訓練期間1年:16万円、訓練期間2年:32万円)のいずれか低い方」です。

各教育訓練給付金の受給手続き

<一般教育訓練>

 教育訓練の受講修了の翌日から1か月以内に、受講者本人の居住地を管轄するハローワークに必要書類を提出して行います。

<特定一般教育訓練>

 教育訓練の受講開始日1か月前までに、教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票、ジョブカード(訓練対応キャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングを受ける必要があります。)等を受講者本人の居住地を管轄するハローワークに提出します。

 また、教育訓練修了の翌日から1か月以内に教育訓練給付金支給申請書等を受講者本人の居住地を管轄するハローワークに提出します。

<専門実践教育訓練>

 受講開始前の手続きは特定一般教育訓練の場合と同じです。

 また、専門実践教育訓練を受講中は、支給単位期間(受講開始日から6か月ごとの期間)の末日の翌日から1か月以内、及び教育訓練修了の翌日から1か月以内に、教育訓練給付金支給申請書等を受講者本人の居住地を管轄するハローワークに提出します。

 なお、追加給付を受ける場合は、追加給付の要件を全て満たした日の翌日から1か月以内に改めて申請が必要です。

 その他、詳細につきましては厚生労働省ホームページ最寄りのハローワークでご確認ください。