対応が必要な法改正(2022年10月)
2022年10月から改定になる労働・社会保険関係をまとめてみました。
最低賃金の改定
以前にもお伝えしておりますが、最低賃金が改定されます。近畿2府4県の改定後の最低賃金額と改定日は次のとおりです。
滋賀927円(令和4年10月6日改定)
京都968円(令和4年10月9日改定)
大阪1023円(令和4年10月1日改定)
兵庫960円(令和4年10月1日改定)
奈良896円(令和4年10月1日改定)
和歌山889円(令和4年10月1日改定)
ここでご注意いただきたいのが改定のタイミングです。最低賃金が改定されるの日は上記のとおりですが、給与の締日は関係ありません。
具体的な例で説明すると、滋賀県にある会社で給与は毎月20日締めの場合、9月21日から10月5日までは旧最低賃金額896円で構いませんが、10月6日以降は新最低賃金額927円以上でなければなりません。同じ給与計算期間の中で2つの時給に分けて計算することを避けるのであれば、新最低賃金額の適用を9月21日に繰り上げることが必要があります。
また、業種によっては地域別最低賃金ではなく特定最低賃金の適用を受ける場合がありますので、念のために確認しておきましょう。
雇用保険料率の改定
雇用保険料率が改定されるのは原則4月ですが、今年は例外的に4月と10月の2回改定されます。
4月は事業主負担分だけが引き上げられたため、給与計算で特段の対応は必要ありませんでしたが、今回10月の改定では従業員負担分(と会社負担分も)が引き上げられますので、給与計算をする際に雇用保険料の変更忘れがないようにご注意ください。改定後の従業員負担分の保険料率は次のとおりです。
一般の事業5/1000(旧3/1000)
農林水産・清酒製造の事業6/1000(旧4/1000)
建設の事業6/1000(旧4/1000)
育児休業関係の改定
育児休業の取得を容易にする方向で制度が改定されます。かなりややこしくなっていますので、会社としては正確な理解に努めることが重要です。
- 1歳までの育児休業について、2回まで分割取得が可能に。(従来は原則1回だけで分割取得という発想が無かった。)
- 1歳6か月まで及び2歳までの育児休業延長について、特別の事情がある場合には再取得が可能に。(従来は再取得の仕組みが無かった。)
- 1歳6か月まで及び2歳までの育児休業延長について、取得時期が柔軟化されて配偶者と交代取得することも可能に。(従来は育休延長の開始日が1歳に達した日の翌日又は1歳6か月に達した日の翌日に限定されていたので、夫婦で交代するようなことができなかった。)
- 出生時育児休業(産後パパ育休)の制度が新たに設けられました。これは、子の出生後8週間までの期間に通算28日を限度に2回に分割して育児休業を取得できるとするものです。出産をした女性の場合、基本的には産後8週間までは産休になりますので、主に男性を対象とした制度になります。(養子の場合等は女性も対象になります。)出生時育児休業の制度と、通常の1歳までの育児休業の制度を併用した場合、子が1歳になるまでに最大で4回に分割して育児休業を取得することが可能になります。
- 育児休業中の健康保険料・厚生年金保険料免除について、育児休業制度の改定に合わせてこちらも改定。
- 出生時育児休業の制度が新設されて事に伴い、出生時育児休業給付金が新設される。また、育児休業給付金も育児休業の分割取得に対応。
健康保険・厚生年金保険の対象者拡大
従業員数(≒健康保険・厚生年金保険の加入者数)101人以上の企業について、次の条件を全て満たす従業員が新たに健康保険・厚生年金保険の加入対象となります。
- 週の所定労働時間が20時間以上(実労働時間が2か月連続で週20時間以上の場合を含む)
- 賃金が月額8.8万円以上(割増手当、賞与、精皆勤手当、通勤手当、家族手当等は含まない)
- 2か月を超えて雇用する見込みがある
- 学生ではない