さらに活用しやすくなったキャリアアップ助成金
2021年6月1日
非正規雇用労働者のキャリアアップを促進するため、正社員化などの取り組みを実施した事業主に助成金を支給する『キャリアアップ助成金』が、2021年4月から大きく変わりました。
今回は、有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に助成される『正社員化コース』を説明します。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)
【主な変更点】
<賃金増額に関する変更>
転換前6か月と転換後6か月の賃金を比較して賃金が増額していることが必要ですが、必要とされる増加率がこれまでの5%から3%に緩和されました。
その他、転換前6か月と転換後6か月の賃金を比較するにあたり、これまでは賞与を含むことになっていましたが、賞与を含まないことに変更されました。
<加算措置の変更>
短時間制社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を短時間制社員に転換(直接雇用する場合を含む)した場合に9.5万円が加算されることになりました。
一方、若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合の加算は廃止されました。
【主な対象労働者】
基本的には次の1~5のいずれかに該当する労働者が対象となります。
- 支給対象事業主に雇用される期間が通算して6カ月以上の有期雇用労働者
- 支給対象事業主に雇用される期間が6カ月以上の無期雇用労働者
- 6カ月以上の期間継続して派遣先の事業所その他派遣就業場所ごとの同一の組織単位における業務に従事している有期または無期派遣労働者
- 支給対象事業主が実施した有期実習型訓練を受講し、修了した有期雇用労働者等
- 2020年1月24日以降に新型コロナウイルス感染症の影響により離職し、就労経験のない職業に就くことを希望する者であって、紹介予定派遣により2カ月以上6カ月未満の期間継続して派遣先の事業所その他派遣就業場所ごとの同一の組織単位における業務に従事している有期派遣労働者または無期派遣労働者
【主な支給要件】
有期→正規、有期→無期(非正規)および無期(非正規)→正規に転換する場合
- 有期雇用労働者等を正規または無期(非正規)に転換する制度を就業規則等に規定している事業主であること。
- 転換制度の規定に基づき、実際に正規または無期(非正規)に転換した事業主であること。
派遣労働者を正規または無期(非正規)として直接雇用する場合
- 派遣労働者を正規または無期(非正規)として直接雇用する制度を就業規則等に規定している事業主であること。
- 派遣先の事業所その他派遣就業場所ごとの同一の組織単位において6カ月以上の期間継続して同一の派遣労働者を受け入れていた事業主であること。
【支給額】
中⼩企業の場合、1⼈当たり以下の額が⽀給されます。なお、( )内は生産性の向上が認められる場合の額です。
有期→正規:57万円(72万円)
有期→無期:28万5,000円(36万円)
無期→正規:28万5,000円(36万円)
※1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人まで。
【各種加算措置】
要件に該当すれば、中⼩企業の場合は以下の額が加算されます。なお、( )内は生産性の向上が認められる場合の額です。
- 派遣労働者を派遣先で正規(勤務地限定正社員、職務限定正社員および短時間正社員を含む)として直接雇⽤した場合:
- 1人当たり28万5,000円(36万円)
- 母子家庭の母等または父子家庭の父を転換等した場合:
- 有期→正規:1人当たり9万5,000円(12万円)
- 有期→無期:1人当たり4万7,500円(6万円)
- 無期→正規:1人当たり4万7,500円(6万円)
- 勤務地・職務限定・短時間正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換または直接雇用した場合:
- 1事業所当たり1回のみ、9万5,000円(12万円)
なお、本助成金にはこれ以外にも細かい支給要件がございますので、詳細は厚生労働省ホームページをご確認ください。