熱中症対策をしましょう
職場での熱中症はどのぐらい発生している?
熱中症のニュースを毎年耳にしますが、職場における熱中症はどのぐらい発生しているのでしょうか?
厚生労働省の公表資料によると、2020年には職場における熱中症が959人発生しており、そのうち22人が亡くなっています。これは病院に運ばれるようなケースの集計ですから、軽度なものはこれ以上に発生していたものと思われます。
暑さ指数とは
熱中症は重篤になると最悪亡くなる場合もありますし、そこまで至らなくとも、強い倦怠感や疲労感を覚えたり、めまいを感じたりするなどしてその日以降の作業を中断することになりかねませんので、積極的に熱中症の予防をするべきです。
とは言え、やみくもに対策を講じるのは効率的ではないため、対策を講じる基準値があると便利です。代表的なものとしては「暑さ指数」が挙げられます。暑さ指数はWBGT(Wet Bulb Globe Temperature)と呼ばれることもあります。
この暑さ指数とは、熱中症予防を目的としており、①気温、②湿度、③輻射熱の3つの要素を取り入れた指標であり、暑さ指数が28を超えると熱中症患者が著しく増加するとされています。
暑さ指数は労働環境や運動環境の指針として有効であると認められており、国際的にも規格化されています。
暑さ指数を知るには?
暑さ指数は天気予報アプリなどでも簡単に調べることができますが、いちいち自分で調べるのは面倒という方もいらっしゃるかと思います。そのような方は環境省の公式LINEアカウントを利用してみてはいかがでしょうか。
まずは環境省の公式LINEアカウントを友だち登録し、その後トーク画面から暑さ指数や熱中症警戒アラートの受信設定をします。最初だけほんの少しの手間(実際にやってみたところ、友だち登録から受信設定まで所要2~3分でした。)がありますが、その後は自動でメッセージが届くようになります。
詳しい方法については環境省の熱中症予防情報サイトをご確認ください。
熱中症予防対策 具体的には?
<環境管理>
- 屋外作業であれば直射日光を遮る簡易な屋根の設置や、照り返し等の熱を遮る遮へい物の設置、通風・冷房機器の設置などを検討してみましょう。(散水も効果がありますが、通風の悪い場所などでは湿度が上昇する悪影響があることも考慮するようにしましょう。)
- できるだけ涼しい休憩場所を確保しましょう。水風呂やシャワーなど体をすぐに冷やすことができる設備があればより効果的です。
- これらの対策が難しい場合でも、涼しい木陰を休憩場所として確保するなど、状況に応じて対応しましょう。
- 水分・塩分の補給ができるものを用意しておきましょう。
<作業管理>
- 体が暑さに慣れる前は熱中症が起こりやすいので、特に梅雨明けで急に暑くなる時期や、盆休みで体が冷房に慣れた直後などは注意が必要です。
- 日中を避けて、早朝や夕方に作業を分散させることも検討してみましょう。また、作業の状況などに応じて、作業の休止時間や休憩時間を確保するように努めましょう。
- 水分・塩分の定期的な摂取をさせるようにしましょう。
- 通気性の良い帽子の着用、透湿性・通気性の良い服装で作業させましょう。クールジャケットの装着も効果的です。
<健康管理>
- 糖尿病、高血圧症、心疾患、腎不全、精神・神経疾患、広範囲の皮膚疾患などは熱中症に影響があると言われています。これらの基礎疾患を抱えている場合は、産業医や主治医の意見を勘案して、必要に応じて就業場所の変更や作業の転換などを検討しましょう。
- 睡眠不足、二日酔い、風邪、下痢などは熱中症に影響を与えるおそれがあるため、日頃の体調管理を指導するとともに、このような状態にあるときは無理をさせないように注意しましょう。
<労働衛生教育>
- 熱中症の症状、予防方法、救急措置について事例もまじえて教育しておきましょう。
- 事業場や作業場周辺の病院や診療所の場所や電話番号などをあらかじめ把握しておきましょう。
- 熱中症が疑われる場合、下図の手順を参考に応急措置を行いましょう。
関連情報
7/1~7/7は全国安全週間です。また、6/1~6/30までは全国安全週間に向けての準備期間となっています。令和3年度の実施事項には熱中症の予防対策も盛り込まれており、丁度よいタイミングですから、熱中症対策に取り組んでおきましょう。